戦後グラフ雑誌と……

手元の雑誌を整理しながら考えるブログです。

16回 『週刊サンニュース』で、木村伊兵衛は何を撮ったか(1)

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前回紹介した〈『週刊サンニュース』の時代――報道写真と「名取学校」〉の展覧会図録(JCIIフォトサロン、2006年)を見ると、撮影や執筆を担当したスタッフの名前や略号が書き込まれた創刊号(1947年11月12日)が残されているようである。創刊からしばらくは目次がないし、記事には撮影者の記載もないので、書き込みが手がかりになる。それによると、創刊号の「古バス住宅」は、木村伊兵衛撮影であると分かる。
木村は、『週刊サンニュース』が49年3月に休刊した後、『カメラ』(46年1月復刊)や『アサヒカメラ』(49年10月復刊)などのカメラ雑誌を中心に活動していくようになるので、『週刊サンニュース』に掲載したような、10枚以上の写真を組んで記事をまとめる、いわゆる「報道写真」スタイルでの発表は減っていく。新聞各社が刊行していたグラフ雑誌で仕事することも、ほとんどないのである。そういう意味では、『週刊サンニュース』での仕事は貴重である。
まず、戦後復興期であることが実感されるような、社会ネタに取材した記事を3点紹介する。24号の「全逓のいう陸上潜水艦試乗記」の画像に、フラッシュの反射が強いことで、この号の用紙の、いかにもグラビア用紙らしい平滑性がわかるだろう。

画像は、すべて『週刊サンニュース』。上:「古バス住宅」(創刊号、1947年11月12日、オフセット印刷、撮影:木村伊兵衛)、中:「全逓のいう陸上潜水艦試乗記」(24号、48年8月30日、グラビア印刷、撮影:木村伊兵衛)、下:製本時の折り不良で、左右ページがつながらない例、「本邦「初演」のファッションショウ」(29号、48年10月20日グラビア印刷、撮影:木村伊兵衛)。