戦後グラフ雑誌と……

手元の雑誌を整理しながら考えるブログです。

9回 『週刊サンニュース』のレイアウト(2)

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『週刊サンニュース』(サン・ニュース・フォトス、8号よりサン出版社)の創刊号(1947年11月12日)から7号(47年12月25日)までは左開き横組みというのが、個性的だったと評価されている。だが、新聞紙のような紙質で横組みだから、針金綴じをはずしてしまえば、タブロイド判の新聞の体裁に非常に近似したものだ。
横組みでタブロイド判といえば、忘れてはならない新聞がある。サン写真新聞社(サン・ニュース・フォトス同様に、毎日新聞新館内にあった)から刊行されていた日刊の『サン写真新聞』(46年4月19日創刊、当時はタブロイド判で4ページ、53年に判型が普通の新聞紙サイズの「ブランケット判」になり、縦組みになる、60年廃刊)である。実際に並べてみると、『週刊サンニュース』は『サン写真新聞』の週刊ヴァージョンとして企画されたのでは、と思えてしまう体裁である。横組みであるだけでなく、句読点を使わずに1字アキにするのも共通である。
『週刊サンニュース』のオフセット印刷に対して、『サン写真新聞』は活版印刷。用紙の手触りもよく似ているし、厚みを計ると、どちらも0.12ミリ。印刷を比べると、『サン写真新聞』はムラも目立って写真の網点が荒く、濃度の足りないのに対して、『週刊サンニュース』は印刷のムラがない。オフセット印刷の長所――ゴムブランケットに転写して印刷するので紙質にあまり影響されない――がはっきりと見える。
『サン写真新聞』のレイアウトは柔軟だ。1ページ目はニュース速報写真で、2-3ページの見開きは、速報性のない組写真、4ページ目は雑報という構成である。3ページの右端に縦に広告を並べるところは、なかなか可愛らしい。上半分と下半分に別の記事を配し、間に太い横罫を入れて、横組みらしく、すっきりとまとめているのは、うまい。硬質でたどたどしい『週刊サンニュース』(同様に太い横罫を使う)よりは、手慣れた職人の味が感じられる。
『週刊サンニュース』のレイアウトがたどたどしく思えるのは、左右2分割と3分割という基本が徹底していて規則的だからだろう。

画像は上から、『週刊サンニュース』5号(1947年12月11日、表紙とも24ページ、オフセット印刷)と『サン写真新聞』(48年1月8日付、表紙とも4ページ、活版印刷)。『サン写真新聞』(48年1月28日付、活版印刷)の2-3ページ。左右3分割が基準になっている『週刊サンニュース』5号(47年12月11日、オフセット印刷)の20-21ページ。左右2分割が基準になっている『週刊サンニュース』5号(47年12月11日、オフセット印刷)の22-23ページ。